福島日帰り弾丸ツーリング!
2023/05/02-@ 福島県飯舘村・山津見神社〜福島市・二ツ小屋隧道
 
 少し前にオオカミ信仰の神社のことを調べていたときに、福島にある山津見神社のことを見つけた。そこは狛オオカミはもちろんのこと、拝殿の中には、200枚以上のオオカミの天井絵が奉納されているという。そのうち観に行きたいなあ、と思っていたけど、ちょうど今は5月連休の真っただ中。翌日の仕事の心配もない(笑)。だったらいっちょ日帰りで行ってくるかと思い、どうせならその近くで行けそうなところを一緒に回ってこようとルートの計画を立てた。でも、改めて山津見神社の場所を見ると、あれ?結構距離ある(笑)?んー、とはいえ、まあ行けない距離じゃないし、なんとかなるっぺ!
 
 東北自動車道をノンストップで走り、二本松ICで下車して神社への道を進む。途中、県道62号線を走っていると、道沿いの斜面の上に、見覚えのある後ろ姿が見えた。あれって・・・。
 
 新1号!新1号じゃないか!思わず路肩にBAJAを停め、近づいて写真を撮ってしまった。見たところ何かの看板というわけでもなさそうだけど、何故こんな場所に仮面ライダーが?でも、そういえばこのだいぶ手前にもアンパンマンがいたし、この後にもこの道沿いでアラレちゃんを見たような気がするし、何か町おこし的な感じなのかな?
 
【追記】
 この人形は、地元の「針道のあばれ山車」というお祭りで使われたものだそうで、アニメなどのキャラクターを模った山車をぶつけ合うお祭りなのだそうです。お祭りが終わると、山車を作った各地区の道沿いにその人形が飾られるとのことでした。

 参考:針道のあばれ山車 針道若連連合会公式サイト

 fooさん、情報ありがとうございました!
 
 
 そして、やはりこの県道沿いでたびたび見かけていたのがこの街路灯。
 
 これは初めて見る形状のもので、クリアとクリアオレンジの樹脂で形成された、レトロ感のあるカバーのデザインがとても魅力的で、どこかで停まって写真に収めたいなーと思いながら走っていたんだけど、ちょうど仮面ライダーを見つけて停まったすぐ近くにあったのでこちらもバッチリ写真に撮ってきた。やっぱりちょっと遠くに出てくると、普段は見られないものが見られていいなあ。
 
 そんな寄り道をしつつ、ようやく本日最初の目的地、山津見神社に到着。自宅を出てからここまで4時間弱。やっぱりそこそこ時間掛かったな・・・(笑)。
 
 駐車場にBAJAを停めて石段を上がると、まず1対目のオオカミ像が出迎えてくれる。
 
 向かって右手のこちらが阿形。全体的なフォルムはシンプルだが、キツネのような吊り気味の目と、がっしりとした脚の造形が印象的だ。目元には赤いアイラインが引かれ、瞳が黒く描かれている。口の中は赤、歯は白い塗料で塗られている。
 
 そしてこちらが対となる吽形。こちらも眉まで造形されたシャープな目元が印象的だ。ニホンオオカミの痩身体形を表すあばらもしっかりと造形されている。そして阿形同様に、目と口に着彩が成されている。
 
 1対目のオオカミ像を超えると、巨大な鳥居の奥に立派な拝殿が建ち、その拝殿の手前に2対目の狼像がいる。
 
 1対目同様、拝殿向かって右手のこちらが阿形。筋肉質な体つきと、タイリクオオカミを思わせるようなたてがみの造形が成され、より迫力を感じさせるような姿となっている。こちらの像も、ほぼ剥がれてしまってはいるが口の中が赤く塗られていた痕跡があった。
 
 拝殿向かって左手のこちらが吽形。阿形同様マッシブで実に力強い印象の造形だ。前脚の爪が台座の手前に迫り出して造形されているのが、いつでも跳びかかる準備はできているぞとでも言わんばかりの圧を感じて、個人的注目ポイントだ!
 (なお、これらのオオカミ像の詳細な画像は、後日「大神-オオカミ-の貌」のページに纏めます。)
 
 自動ドアが設置された立派な拝殿の中に入る。賽銭箱の後ろにガラス戸があり、その奥にも拝殿がある。
 (ちなみに写真右奥に見えているのは御守の自動販売機だ!)
 
 そしてここで上を見上げると、この天井絵を見ることができる。
 
 天井一面に嵌め込まれたこのオオカミの絵、こちらの手前の拝殿に142枚、奥の拝殿に100枚が奉納されているそうだ。
 これらの天井絵、様々なシチュエーションの中に、オオカミたちが生き生きとした姿に描かれ、ひとつひとつ見渡していくのが実に趣深い(個人的には水辺シリーズ(と勝手に呼んでいる)がとてもお気に入りだ)。
 
 この天井絵を見て、ずいぶんと綺麗、というか新しいと思う人がいるかもしれない。実はこの天井絵は復元されたものなのだ。
 この山津見神社は、2013年に火災に見舞われてしまい、その当時ここ飯舘村は、まだ東日本大震災の原発事故による避難区域となっていたために消火が遅れ、社殿を全焼してしまったという。しかし、火災の数か月前にたまたま研究のためにこの天井絵が一枚一枚写真に収められていたため、それを元に東京藝術大学の大学院の学生の手によって復元されたのだそうだ。
 
 オリジナルの天井絵は1905年(1904年とも)に奉納されたとのことだが、この天井絵も、息遣いすら感じるほどに躍動感のあるオオカミたちの姿が忠実に復元されている。真上を見上げるかたちとなるため、まじまじと見ているとすぐに首が痛くなってしまい、休み休み見ていたのだが、生命感溢れるオオカミの姿に、ため息が漏れるほどにくぎ付けとなってしまった。
 (ちなみにオリジナルの天井絵も、ウェブで検索すると写真が見られるので興味のある人は調べてみて欲しい。)
 →参考(※PDFです!):山津見神社天井絵復元プロジェクト
 
 そして、ガラス戸で仕切られた奥の拝殿にも天井絵はあったとのことだが、今回はこちらには入れずに見ることはできなかった。
 ・・・いや、もしかして宮司さんにお願いすれば見せてもらえたりしたのかな?まあ、今となってはもう遅いけど・・・。
 
 ただ、ガラスの前から中を見ていると、ここにも一対のオオカミ像があるのに気づいた。全体的に黒っぽく材質の判別は付かないが、木彫りを塗装した物だろうか。
 
 しっかりと阿吽の造形も表現されているのが見て取れる。
 拝殿内には、他にもオオカミの奉納絵や木彫りの像などが置かれていた。それらはいずれ「大神-オオカミ-の貌」のページで紹介したいと思う。
 
 見たかったオオカミ像と天井絵を、しっかりとこの目で見られたことに満足し、拝殿の横にある社務所で御守をひとつ授かって神社を後にすることにした(ちなみに御札もあったけど、自分の性格上御札に手を出し始めると深追いする危険性があるので今のところ自重している 笑)。
 やはり埼玉から来るだけの価値はある、素晴らしい神社だった。

 あ、ちなみにこの山津見神社を、たまたま出発前にGoogleマップで見たら、この日は「本日休業日」と表示されていた。もしかして今日は閉まっているのか?とも思ったけど、商業施設でもあるまいし休業ってことはないだろと思ってやってきたけど無事参拝することができた。Googleマップのあの適当すぎる情報はなんとかならんのか(笑)?
 
 次の目的地へ向かおうと、BAJAに跨って車道へ出ると、そこに一ノ鳥居が。あ、ここが参道の正式な入口だったか。まあそうだよね・・・。
 
 移動中、阿武隈川を渡る地点で、そこからの景色があまりにも爽快で素晴らしかったので思わず停車。ただこの日はあまりにも風が強くて、こうしてBAJAを停めていても、その風で倒されてしまうんじゃないかというくらいでカメラを構えている間も気が気ではなかった。
 
 山津見神社から1時間ほどかけて、次の目的地の入り口に島着。
 
 国道13号上にある東栗子トンネルの孔口の前から1本の道が分岐しているが、この先に旧万世大路(旧国道13号)がある。この旧万世大路上にある二ツ小屋隧道が、本日の2つ目の目的地だ。
 久しぶりに来て見ると、きっちりとアスファルトで舗装された立派な道が出来ていて驚いたが、前回来た時はこんな道はなかったはず。あの時は、東栗子トンネル孔口のすぐ脇から分岐していた、林道というにも心許ないような道を上って行ったんだけど、その入口はどうなっているんだろうと歩いて見に行ってみたら、すっかり影も形も無くなっていた。
 
 というわけで素直にその新しい道を上がってくると、目の前に武骨なグレーの建物があった。これは栗子トンネルの換気塔のようだ。建物自体まだ真新しい物らしく、これの為にこの道が整備されたんだな。
 
 そして、この施設の前から、さらに上へ向けてコンクリート舗装の急坂がえげつない斜度で延びている。ここから万世大路へ向かうんだな。よくこんな道を整備したな・・・。
 
 そのコンクリ舗装の急坂を上り切ると、このような林道ライクな道へと変わる。これで、かつて東栗子トンネルの脇から分岐していた道に合流した。
 
 道の脇には前回は気づけなかったスキー場のリフトの遺構が残っている。
 
 写真を撮ろうとカメラを向けていると、その中で何か動くものが見えた。お猿さんだ。しばらく様子を観察していたけど、向こうも腰を据えてそれ以上動くことも無く、じっとこちらのことを観察していた。お騒がせしました、すぐに移動しますよ。
 
 そう、そもそも今いるこの区間は、本来の万世大路ではなく、かつてここにあったスキー場の管理用道路だったと聞く。こんなリフトの支柱も、前回は全く気付くことなくスルーしてしまっていた。
 
 ときおり急なカーブはあるものの、道は概ね走りやすいダートが続いている。
 (そういえば前回は、その急カーブでキャンプ道具を積んだBAJAを倒してしまい、引き起こすのに苦労した、なんてこともあったっけな・・・。)
 
 そんな道を進んでくると、カーブの外側に小さな看板が立っていた。
 
 万世大路の、二ツ小屋隧道へと至る図が描かれている。東栗子トンネルから現在地の印に至る点線区間が、いま走ってきた道だ。そして、ここから右手に、新沢橋へと至る本来の旧万世大路が実線で描かれているんだけど、この先って、どうみても現状車両が通行してるような状態には見えなかったけど(うっかり写真を撮り忘れてしまったが・・・)、やっぱり車両は点線区間を使って、実線区間のほうはもう徒歩だけとかなのかな?
 
 そして、この地点のヘアピンカーブがなかなか良かったので、実線区間のほうに入り込んで撮影。
 
 点線区間との合流地点を過ぎると、道は本来の万世大路の区間となる。先ほどまでの点線区間とは異なり、さすがにかつての国道としての面影を感じさせる、幅員の広い道が延びている。
 ちなみに、ひとつ上の写真と光の具合が全く違っていると思うが、先ほども言った通り、今日は強風が吹き荒れていることもあり、上空を雲がもの凄いスピードで流れているので、晴れていたと思ったら一瞬で曇り、また陽が差すということを何度も繰り返していた。
 
 そんな道を進んでいると、路肩には石垣の姿が見えてきた。今では想像をするのも少々難しいが、かつてはここを路線バスなども通行していた。
 
 そんな旧国道の姿をじっくりと噛み締めながら走っていると、この先のカーブの地点に、背の高い擁壁が見えてきた。おお、ついに来たぞ・・・。
 
Aへ続く。