桐生のごっついスリットダム!
2023/06/25 群馬県桐生市・林道一色線沿いの鋼製スリットダム・他-①
 
 先日、スリットダムを検索しているときに、いままで見たことのないとんでもないスケール感の鋼製スリットダムを見つけてしまった。情報を辿っていくと、そのスリットダムは群馬県の桐生市にあるらしい。おお、わりと近くじゃないか!もうその時からずっと子どもみたいにソワソワしっぱなしで(笑)、とにかく週末に雨が降らないことを期待しながら日々過ごしていた。
 そしてやってきた週末、雨の心配はなさそうだ!よーっし、行ったるでえ!
 
 目的のスリットダムがあるという黒川沿いの林道(?)を目指して走っていると、その黒川を渡る橋の先で道がT字路となる。左手は林道西ノ入線の標識が立っているが、目的地は右手に進む道のほうだ。
 
 こちらに対しては林道標識は立っていないが、きっとこっちも林道なんだよなあ・・・?
 
 まあ、今日はここが林道であろうとなかろうと、それほど大した問題ではないのだが(笑)、少し進むと周囲はいかにも林道らしい景色になってきた。
 
 道の脇には林道付替工事中と書かれた看板が立っている。特にこの道の名などは書かれていないが、「林道付替工事」とあるとおり、やはりここは林道のようだ。工期は今年の9月末までとなっていて、今まさに工事期間の真っ最中のようだが、道自体は特に通行止めなどの措置はないのでこのまま進んでいく。
 
 その先で、路面は黒光りした真新しいアスファルトへと変わり、掘割を抜けて左手にカーブしていく。そして、そこから右手に旧道と思われる道が分岐していた。なるほど、林道付替工事はここのことか。
 
 その掘割を抜けた先にストレートが続いているが・・・うおっ、ここからもう見えているぞ・・・!
 
 こっ、これが目的のスリットダムかあっ!でっ、でけえ!ここからでもその巨大さが伝わってくるぞ!
 
 ただ、あのスリットダムは現道の脇にでもあるのかと思っていたのだが、この道はあのダムを迂回するように先へと伸びている。どうやら林道付替工事というのは、あのダムを造るためのものだったようだ。
 
 そのまま進んではダムを通り越してしまうので、一旦旧道のほうに下りてきた。ここを進めばあのダムに着くはずだ。
 
 ちょうどこの地点から後を振り返っても、かなりの規模の砂防ダムがあるのだが、今はそれどころではないのだ・・・さあ、行くぞ!
 
 でっ、でけえ!(2回目)
 な、なんつー迫力だ・・・!バイクとの比較で、このスリットダムのサイズ感も伝わると思うが、そのうえ、バイクに乗ったままスリットダムの真ん前まで来れるなんて、こんなの初めてだぞ!
 
 それもそのはず、このスリットダムは、もともと黒川沿いに伸びていた林道をぶった切るように造られていた。そのため、この旧道を巻くかたちで付替が行われたのだ。
 
 バイクなしでのショットも。対比物がなくなると、途端にどれだけの大きさなのか脳が判断できなくなる・・・。
 
 どうやらこの型のスリットダムはHBBO+型砂防堰堤というらしい。この形式についてはリンク先に詳細があるので興味のある人は是非見て欲しい。
 これは俺にとって初めて見る形式でもあり、そこに労せず辿り着くことができるということも衝撃だ。間近で見上げる、エッジの立ったバットレスと鋼管ビームの組み合わされた武骨なシルエットにシビれるぜ・・・!
 いままで見てきたスリットダムはA型やB型といった形式がほとんどだったが、その初めて見るものがこの規模で、しかも目の前で見られることに興奮を禁じ得ないッ!
 
 鋼管ビームの下をくぐって反対側に来た。
 
 こちらから見るバットレスのシルエットも、仄かに錆の浮いた表面の質感と相まって実に美しい・・・。
 
 そして前述のとおり、このスリットダムは林道をぶった切るかたちで造られているため、当然この奥にもこの道の続きが延びている。しかも、BAJAと一緒に写した写真で分かるとおり、一番下段の横ビームの下は、バイクに跨ったままでも通過できるだけの高さがあるのだ。つまり・・・。
 
 そりゃあ潜ってくるよね。
 
 さあ、ここから先はどんな道が続いているのだろうか。せっかく来た道だ、一旦このまま進んでみよう。
 
 ・・・と思ったら、写真を撮る間もなくあっという間に新道へと合流してしまった。本当にあのダムを迂回するためだけの付替えだったんだな。
 
 そしてそのすぐ先で真新しいアスファルトは途切れ、その奥に元々の林道の路面が続いていた。この先を進めばここがなんという名前の道なのかも判明するかもしれないし、このまま進んでみよう。
 
 路面は側溝から溢れ出た水が沢のように流れている。浮き砂利もあるので慎重に進んで行こう。
 
 うおっ・・・!鳥居だ・・・!
 
 林道を走っていると、稀にその道沿いに鳥居が現れることがある。その雰囲気自体はすごく好きなんだけど、この先へと続く石段は草まみれで、さすがに入って行こうという気にはなれなかった。
 
 もしかして、あの背後に聳える岩壁の窪みの中に祀られていたりするのだろうか?気にはなるけど、ちょっと時期が悪かったな・・・今日はスルーだ。
 
 その先で、左手に支線が分岐する場所に看板が立っていた。
 
 看板はこの一体の水源林造成事業を記したもので、これにも林道名などは書かれていなかった。
 
 そして、ここから分岐する道は、急勾配のコンクリート舗装の上を勢いよく水が流れ落ちていた。うわぁ、めちゃめちゃ滑りそう・・・ここはパスだな・・・。
 
 その先で、またしても支線が分岐していたが、そこに林道標識が立っていることに気が付いた。
 
 おお、ここは林道一色線という名だったのか!何故か終点標識はしっかりと設置されているが、もしかして起点標識を見落としていたのかな?
 
 そしてここで路面はアスファルトからコンクリートに切り替わり、作業道扱いと思われる道が続いている。せっかくここまで来たし、もうちょっとこのまま進んでみるか。
 
 あ、ちなみにここから分岐している道も恐らく作業道で、とんでもない勾配のコンクリ舗装だったのでこっちは遠慮しておいた(笑)。写真でもこのクレイジーな角度が伝わるだろうか・・・。
 
 で、一色線から続く道をそのまま進んでくると、途中で急カーブを経て、道はさらに斜面を駆け上がっていた。
 
 道はさらに奥へと続いていそうだったけど、いつの間にか晴れ上がった空からは、じりじりと灼熱の太陽が照り付けていたこともあり、これ以上このコンクリ舗装の作業道を上がるのがめんどくさくなっちゃって、ここで引き返すことにした。とりあえず俺的には一色線という路線名が確認できたことでもう気が済んだしね。しかし暑ぃーなあ・・・。
 
 それにしてもあのスリットダム、あんなに間隔の広い鋼材の隙間で、ちゃんと土砂とか堰き止められるのかな?そんな思いでふと斜面を見上げると、ところどころにこんな岩石が顔を覗かせていた。まさか、あんな岩を堰き止めるとか、そこまでの想定をしてるわけじゃないよね・・・?
 
 とにかく、せっかく陽も出てきたことだし、もういちどあの前へ行ってみよう。
 
 ああ、やぱり陽が当たるとコントラストが増していいね!
 
 陽を浴びて黒光りする鋼材の姿が、より迫力を増して聳えている。うーん、たまらん!
 
 ちなみに、コンクリート扶壁部分に見えるあの階段状の構造はフーチングといい、両岸の強さが心もとないときに付けられるものだと、ツイッターで教えてもらった。あ、階段状とはいえ、あれ1段で人の背丈ほどの高さがあるんだけどね。
 
 テクスチャーがかっこよすぎるんじゃ!
 
 鋼材は日本製鉄製のようだ。
 
 遠目の写真ではスケール感が伝わりづらいかと思って近づいてみた。いかにこのスリットダムがでかいかお分かりいただけただろうか。
 
 むふー、まじまじと眺めまくって、すっかり満足いたしました!やはり来て良かった!
 
 あ、そういえばこのスリットダムの名前を確認せずに帰るとこだった、あぶねー。というわけで、どこかに文字情報がないかと探してみると、あ、見っけ!
 
 オッケー!無事確認!
 
 ちなみに天端には、扉付きのフェンスが設置されていた。これは同じく群馬の神流町で見た橋倉川第三砂防堰堤と同じ措置だな。
 
 これで本日のメインの目的は果たしたわけだけど、せっかくここまで来たので、ついでにいくつか林道も走って行こう。
 
②へ続く。