梅雨の晴れ間の林道ツーリング
2014/06/15-@ 埼玉県秩父市・中津川林道〜ナメ沢林道
 
 今年もとうとう梅雨入りしてしまいましたね。こんにちは、ナノレカワです。
 それにしても梅雨入り早々、物凄い量の雨が降り続いてちょっとビビってます。なんでも、既に例年の6月ひと月分の雨が降ったとか。またどっかで林道が崩れたりしてないだろうな・・・。
 それはともかく、あれだけ降り続いた雨もようやく上がり、今週末は梅雨の晴れ間に恵まれるようだ。これは走りに行かないワケには行くまい!
 
 道の駅あらかわにやって来ました。そう、今回の目的地は久々の埼玉だッ!今日は久々の埼玉ということに加え、久々の696(むくろ)さんとのツーリングでもある。696さんとは、前回ご一緒してから実に9カ月ぶりのツーリングだ。時の経つのが早すぎて恐ろしいぜ・・・。
 今回も前回同様、二人とも気になっていた場所があってご一緒することとなった。その気になる場所をしかと我々の目で見届けてこよう。それでは早速最初の目的地へと出発だぜ!
 
 本日最初の目的地は中津川林道。今年最初の中津川だ!
 中津川林道は現在、去年の台風による崩落の復旧工事の真っ最中で未だ通行止めが続いているが、通行可能な信濃沢橋の冬季閉鎖ゲートまででも、この時期の緑鮮やかな中津川はじゅうぶん堪能することが出来る。
 
 それにしても今日は本当にいい天気だ。梅雨の中休みとは言っても、多少は薄曇り程度にはなるんじゃないかと思っていたのだが、見てみい、この雲一つ無い青空を!無駄にテンション上がるぜ!
 
 ダート区間に入る。フラットな路面に落ちる木洩れ日が眩しい。この直線区間も本当に好きな場所だ。
 
 っていうか、中津川はどこをとっても好きな場所だらけなんだけどね(笑)。
 見上げれば、陽を透かして鮮やかな光を放つ緑が周囲を覆い尽くす。
 
 信濃沢橋までの区間しか通れないとは言え、そこまでには中津川の前半の見どころがギッシリ詰まっていると思う。この景色があるから、途中までしか行けなくたって来ちゃうんだよなあ。
 
 眩しい日差しが作りだす光と影のコントラストが強すぎてもうわけわかんないけど(笑)、この初夏の林道の景色って溜息が出るほど好きなんだ。
 
 ガク沢橋までやって来たが、手前の川沿いの斜面を見ると、どうも様子がオカシイ・・・。
 
 うおっ!なんだこれは・・・。斜面に生えた気が軒並み土砂崩れによって倒れてしまっている。
 
 ここなど、綺麗に横並びで倒れている。これらは去年の台風によるものか、それとも今年の大雪の所為なのかは分からないが、きっとこんな被害が峠に至るまでの全線に渡って起きているんだろうから、この時期になって未だ開通に至っていないというのも仕方の無いことかも知れない。
 
 息苦しくなるほどに緑の溶け込んだ空気を胸一杯に吸い込みながら、久々の中津川の路面を噛み締めるように進んでいく。この区間のこの景色を見るためだけでも、中津川まで来る価値はじゅうぶんにあると思う。
 
 文句無しの景色の中を走り、あっという間に信濃沢橋の冬季閉鎖ゲートまでやって来た。
 
 本来ならば5月頭には開放されるゲートが未だ閉じたままなのはやはり寂しいな・・・。
 ちなみに、開通の目処について7〜8月頃という見通しもあったようだが、大滝総合支所に問い合わせてみたところ、先日の梅雨入り早々の大雨による路面状況を、全線に渡って確認出来ていないこともあり、今現在はっきりとした日程についてはお知らせできない、とのことだった。確かにあの大雨の時は、秩父市では連日大雨警報が出ていたしな、もし新たな崩落でも起きてたらどうしようぅぅぅ・・・。
 
 あー、三国峠まで行きたいなあ。早く峠を越えて長野に行きたいよう。
 まあ、現在復旧工事の真っ最中ではあるので、いずれ来る開通の日を心待ちにするとしよう。
 
 それでは中津川を引き返して、続いての目的地へと向かおう。
 
 県道210号を引き返す途中、ふと川の中にあるものが目に入ったのでつい停車。
 
 か、階段!?なんであんなところに階段が?一体何のために造られたものなのか皆目見当もつかないが、本来水の中にあることが不釣り合いな構造物がすぐ目の前にあるなんて・・・いやぁ、怖い怖い!
 
 国道140号に戻り雁坂方面へと進み、滝川渓隧道を潜るとすぐに現れるこのゲート。ここは東京大学秩父演習林林道であるナメ沢林道の起点だ。
 
 この起点の手前には黒文字橋が掛かり、滑沢(ナメ沢)を跨いでいる。ナメ沢林道はこの滑沢に沿う様に延びている。
 
 このナメ沢林道のゲートは、東大秩父演習林林道の中でも最も屈強なゲートだと思う。更にゲートの脇にも柵が立てられ、バイクなどで入る隙は微塵も無い。それでも何故ここまで来たのかと言えば、今日はここを徒歩で散策して終点を目指すつもりなのだ。それでは早速進むとしよう。BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 
 ゲートを越え、いよいよナメ沢林道を歩き始める。周囲は広葉樹の鮮やかな緑が広がっているが、道そのものは起点から恐ろしいまでの急勾配で上っている。
 
 少し歩いて起点側を振り返る。起点の前を走るR140との比較で、この急勾配の様子が伝わるだろうか。
 webで検索すると、このナメ沢林道の設計と施工についての資料を見ることが出来るのだが、それによるとこのナメ沢林道は、この林地の平均勾配が30〜40度という急傾斜であり、且つ周囲が国立公園内であることや国道沿いの立地であることを鑑み、環境・景観面への配慮、また建設費用の経済性などからこれだけの急勾配での設計となったという。ちなみにこの路線中の最急勾配は、何と24.9%(!)にも及ぶというから驚きだ。
 
 そんな急勾配のナメ沢林道を、これから歩いて行くんだよ。総延長はそんなに長くなかったはずだが、初っ端から既に足が重いぜ・・・。
 
 ナメ沢を越えていきなり現れるこのヘアピンカーブ。急勾配を保ったまま、恐ろしいまでの小半径で一気に高度を稼いでおります。この画像で、このカーブの狂気じみた姿が伝わっているだろうか?
 
 このカーブの凄まじさを何とか伝えようと思って動画でも撮ってみた。カーブの頂点の路面が、まるで壁のようにそびえて見える。もともとゲート閉鎖の林道だが、仮に車両の通行が許可されたって、絶対BAJAでは通りたくないよ・・・。
 
 カーブを幾つか越えて、いま通って来た道を見下ろしてみた。短いスパンで何度もヘアピンを抜けて、あっというまにこんなに上がってきてしまった。鬼のような九十九折だ・・・。
 
 ときおり視界の開ける地点では、初夏の爽やかな青空と生命力溢れる緑の山肌が実に美しい姿を見せ、気持ちをほんのりと癒してくれるが、それでも路面の勾配はいささかも緩むことなく突き進んでいる。
 
 これだけ急勾配の路線であるから、路面は全線に渡ってコンクリート舗装がなされている。ここが未舗装だったら景観的にはどれほど美しいかとも思うが、もし未舗装のままだったらあっという間に雨裂が抉られ廃道同然となっていただろうな。
 
 斜面に見えている黒い盛り土部分が全て道の法面だ。あの位置を道が九十九折で登っている。ちなみにこの黒い網のような構造物は、高強度プラスチック網といい、これも環境保全に効果のあるものなのだそうだ。
 
 途中、この林道にしては珍しく直線の続く区間に出たが、道は相変わらず狂おしいまでの勾配を保ったままだ。696さんと二人して、たまに口を開けば「この坂、どこまで続くんだ・・・」とボヤきながら歩いております(笑)。
 
 気温の高さにあえぎながら空を仰ぐと、鮮やかに光る木々が。道はひたすらに険しいが、周囲の森は溜息が出るほどに美しい。
 
 お、山火事注意の看板!これは入川林道などでも見ることが出来るもので、ここが東大演習林であるという確たる証拠だ。
 
 突然、直進する道がぷっつりと途切れている地点に着いた。道は右手に折れて続いているように見えるが・・・。
 
 すこし歩を進めると、そこは道が続いているのではなく、単に車両を転回させるためのスペースだったようだ。
 
 つまり、ここがナメ沢林道の終点ということになる。ちなみにこの先には、消え入りそうなほど薄っすらとした踏み跡が続いていたが、わざわざ進むまでもないだろう(笑)。
 資料によれば、このナメ沢林道の総延長は600mとのことだが、思いの外早く終点に到達出来てしまった。ちょっと拍子抜けしたが、ずっと気になっていたナメ沢林道を全線に渡って歩くことが出来て大満足だ。
 
 それに、しつこいようだが何と言っても、この道が貫く山の景色は本当に素晴らしい。この緑あふれる季節も素晴らしいが、紅葉の季節に訪れたら、また一段と美しい景色を見せてくれそうだ。
 
 で、戻りは戻りでまたツライわけだが(笑)。この急坂を歩いて下るのも、足に全体重が圧し掛かってきてまた大変なんだぜ。以前自転車で行った要倉沢林道も、設計上はこのナメ沢に近い勾配を有しているが、あそこ自転車で下るとブレーキ効かなくておっかなかったなあ・・・またここを訪れるとしても、やはり歩き以外は考えられないな。
 
Aへ続く。