中津・西沢の大カツラ探訪
2019/08/03-① 埼玉県秩父市・中津川林道~中津・西沢の大カツラ
 
 いやあ、今年の梅雨は本当に長かったですねえー。このまま梅雨明けしないまま秋になっちゃうんじゃないかって思ってたくらいで、結局7月はいちども林道へ行かずに終わってしまった。もちろん、雨の降らない曇り空の日もあったにはあったけど、どうせ出かけるなら晴れた日がいいと思ってたら、結果こんなに経ってしまった。
 
 で、ようやく待ち望んだ梅雨明けの週末、久しぶりにBAJAと一緒に出かけてきたぞ!今日の目的地はここ、中津川林道
 え?中津川は前回も行ったばかりだろ、って?そう、まさかの2回連続中津川林道ではあるが、今日はちょっと趣向が違うのだ。この中津川林道から分岐する支線を徒歩で辿ってみようという計画だ。
 今日は「まあものお気楽ツーリング」のまあもさんと一緒だ。まあもさんとは去年の香草温泉以来か。それじゃあ早速行ってみよう!
 
 今日もキャンプ場奥のゲート地点で足を止める。前回もさんざんここで写真は撮ったんだけど・・・と思いながら撮っていたら見事にピンボケ(笑)。 
 
 木々の隙間から落ちる木洩れ日が、路肩の苔を照らすこの光景。あまりの美しさにしばし見とれてしまった。
 
 夏の強い日差しに照らされて、眩しく輝く緑の中を走っていく。こうして8月の中津川を走るのは、過去の記録を見るとなんと6年振りのことらしい!
 
 通行止めが続いていた期間も、通行可能な地点までは毎年訪れてはいたので、真夏ということだけで言えばそんなに経ってしまっていたのが自分でも意外だった。こりゃあ、今年は夏のあいだにもういちどくらい来ておかないとな。
 
 今日もそれなりに他のオフロードバイクも走ってはいるが、さすがに6月の開通直後のような賑わいは無かった。むしろこれくらいが普通なんだよな。ようやく普段の落ち着きを取り戻したような感じだ。まあ、あの開通時のフィーバーぶりもそれはそれで面白かったけど(笑)。
 
 中津川沿いの区間を走り、まずやってきたのはここ。
 
 金蔵沢に沿って延びる、チェーンゲートで閉ざされたこの道の奥に、「中津・西沢の大カツラ」がある。それが今日最初の目的地だ。この大カツラは、埼玉県内では最大の大きさを誇るという。中津川をバイクで走っている人の中にも、この入り口と標柱に見覚えのある人はいるのではないかと思う。ここから歩いて大カツラを目指す。BAJA君、ちょっとそこで待っててね。
 
 ちなみにここから延びる道は大河俣林道といい、旧中津川林道や奥秩父林道と同じく、かつて国有林林道として開設された道らしい。ただ、現在では林道としての役目をすでに終え、これから目指す大カツラへのアプローチとしてのみ利用されているようだ。
 
 さっそくチェーンゲートを越えて歩きだす。道の脇を流れる金蔵沢は、沢底が滑沢となっていて実に美しい。
 
 かつて国有林林道として造られたこの大河俣林道だが、実は車道区間はそれほど長くなく、正確に測ったわけではないが、恐らく150mにも満たないのではないかと思う。
 
 2つ目のカーブに差し掛かると、そこから急に人ひとり分程度に道幅が狭まる。これは、かつて車道だった部分が崩れてこうなったのか、それとも元々ここまでしか車道を造らなかったのか、どちらなんだろう。道の谷川の斜面に生える木も、仮に車道が崩れた後に生えたとしても、この程度の太さに成長する時間はじゅうぶんに経っていそうな気もするし・・・。
 
 その歩道区間を越えると、道が再び車道程度に広がった地点(ほんの20m程度だが)に出る。
 (ここがあるために、先程の区間も元々は車道だった可能性を考えるのだが・・・。)
 
 ただ、ここに立てられた落石注意の標識は、後になって登山者向けに設置されたものだろう。
 
 そこから先は、いよいよ完全な徒歩道となるが、ここは過去に斜面が崩落したような地形になっている。
 
 斜面には、踏み跡に沿って滑落防止用のトラロープが張られている。
 大カツラの存在自体は以前から耳にはしていて、以前ウェブで調べたときは、なかなかハードな行程のように書かれていたものを目にした記憶があった。そして、今いるこの地点までも、過去にいちど歩いて来たことはあったのだが、このロープを目にしたことと、以前読んだブログの記憶とを併せて、ここから先はそう易々と踏み込める場所ではないんだろうなあ、なんて思ったことを憶えている。
 ただ、それらはまだ登山の経験をする以前のことで、いまこうしてここを見ると、以前と印象は全く違って見えて、何も大変そうには見えなかったし、実際にこのロープを使うことも無かった。
 
 ロープの地点を過ぎると、道は沢に接近する。この辺りからまあもさんが地図を見ながら「近くに滝があるらしい」と言い始めた。それを聞いて俺は、(小さい流れ込みみたいなのでもあるのかな?)くらいに思っていたのだが・・・。
 
 ・・・うおっ!
 
 で、出た!突然視界に飛び込んできたこの滝!名を金蔵沢北向きの滝と言う!
 
 チェーンゲートの入り口からここまで僅か10分足らず。まさか、中津川林道本線からたったこれだけ歩いた地点に、こんなに見事な滝が存在しているなんて思いもよらなかったので、この姿には本当に感動した!まあもさんなんて、滝を見つけるなり、いきなり滝つぼに近づいていくし(笑)。
 
 
 このアングルで見ると、滝のスケール感が伝わりやすいんじゃないかと思う。まあもさんが調べたところによると、この北向きの滝の落差は13メートルとのことだが、実際にこの場に立つと、数値からだけでは決して推し量れない迫力がある。しばらくのあいだ、ここで滝の姿に挽きつけられてしまった。実に良いものを見ることが出来た。
 
 滝を後にして再び進もう。この先で沢を渡る地点には、人が渡るにはじゅうぶんな橋が掛けられていた。実は、だいぶ以前に、途中で渡渉しなければならない場所がある、といったような情報を見たこともあったので、途中で靴を脱いで入水することも覚悟して来たのだが、結果として最後までその必要は無かった。
 
 小さな橋の上から金蔵沢を眺める。いやあ、実に素晴らしい。ここって実はかなりの穴場スポットなのではないかと思う。普段中津川に走りにくるライダーでも、ここまで踏み込んでくる人ってそうはいないんじゃないか?
 
 道はずっと沢沿いに延び、何度か岸を行き来しながら進んでいく。
 
 道沿いに並ぶ岩は、その表面をびっしりと苔で覆われ、周囲の景色一面を緑色に染め上げている。
 
 その先で、日差しが入り込んで明るくなった地点に出た。
 
 立ち止まって周囲をぐるっと見回してみる。光を透かした木々の緑に、苔生した斜面の岩肌。そして、この苔に覆われた倒木も実に美しいではないか!
 
 なんて美しい景色だ・・・これ、もう軽く天国だよね(笑)。
 
 時には倒木の下を潜り。
 
 時には踏み跡の不明瞭な場所を、ピンクテープを頼りに進んでいく。とはいえ、道は基本的に沢に沿って延びていて、急なアップダウンや極端に道の方向を変える場所なども無いので、道をロストする心配はまず無いと思う。
 
 そんな道を進んでいくと、前方の少し高い場所に、それは現れた。おお・・・!
 
 ついに中津・西沢の大カツラに到着した!
 チェーンゲート入り口からここまでの所要時間、約30分。今回、事前にルートなどを全く調べずに来たのだが、昔軽く調べたときの記憶で、なんとなく1時間半くらいは掛かるんじゃないかと思い込んでいたので、こんなに短い時間で辿り着いたことには正直驚いた。
 
 手前には案内看板も設置されているが、この看板を目にする人は、はたして年間どれくらいいるのだろう?ふとそんなことを考えるくらいに、ここは余りにもひっそりとした場所だ。
 
 向かって右側から大カツラを見る。根元から枝分かれした幹がそれぞれ空に向かって延びている。全体を見回した中で、この角度からの姿が一番好きかも。
 
 向かって左側から。
 
 大カツラは、斜面を流れ落ちる金蔵沢の脇に立っている。あまりに素晴らしいロケーションのために、正直ここで昼飯にしたいくらいだったが、飯にはまだだいぶ早い時間なので、惜しいけどここではパスすることに。
 
 周囲の様子を動画でもどうぞ。
 
 その金蔵沢の流れを見ていると、ふと水の中に植物が生えていることに気づいた。
 
 流れ方を見る限り、増水して水没とかではなさそうな感じは受けたので、元々水中に生える種だと思うんだけど、なんて種類だろう?
 
 大カツラの姿をじゅうぶんに堪能した。そろそろ引き上げるとしようか。
 
 正直、予想以上に早く到達出来る場所だったと知れたことは大きかった。ここはまた来よう。
 
 帰りは往き以上にあっという間に車道区間まで戻って来た。
 
 BAJA君、ただいまー。往復の所要時間が約1時間程度と、思った以上に早く行ってこれたので、この後の予定にだいぶ余裕が出来たぞ。
 
 さあ、一旦三国峠を目指して走っていこう。
 
 すべりやすいぜ!気をつけな!
 ・・・って、何でこんなにデコボコしてんの?
 
 立体交差で分岐する奥秩父林道を通過。ただ、ここへは後で戻ってくる。この奥秩父林道を歩くのが今日の2つ目の目的なのだ。
 
 夏の日差しが降り注ぐダートを上って行く。真夏の林道って、ただそれだけで無性に嬉しくなる。
 
 大好きな堀割りを通過。ここも季節によって様々な表情を見せてくれる。
 
 ・・・って、あれ?あの上の木、真横に倒れてるんだけど、前からあんな感じだったっけ?と思って6月に撮った写真を見返したんだけど、そのときは何ともなかったようなので、どうもこの状態になったのはそれ以降のようだ。本当に今年の梅雨はしつこかったもんなあ。斜面が崩れ落ちてくるなんてことにならなくて良かった。
 
 すいません、ここで撮るのはもう儀式みたいなモンなんで(笑)。
 
 標高を上げて、だいぶ峠へと近づいて来たが、この辺りまで来たところで空が陰ってきた。
 
 むうー、さっきまであんなにいい天気だったのに。この後の予定に影響が出なければいいが・・・。
 
②へ続く。