お外で遊ばせてくれ!
2020/10/18 山梨県山梨市・林道乾徳山線〜埼玉県秩父市・中津川林道
 
 それにしても、今年は本当に変な年だなあ。新型コロナウイルスの流行に始まり、7月はほぼ毎日のような雨、梅雨が明けたと思ったら8月は記録的な猛暑、9月に入ると週末ごとの雨・・・。最近はバイクで出かけるといえば、午後にちょっとした晴れ間が出たときに変なものを見に行ったり近場のダートに走りに行ったり、そんなことばっかりで、林道へは8月の長野を最後に訪れていなかった。
 そんなことをしているうちに、あっという間に10月も中旬となり、場所によっては紅葉の便りもぽつぽつと届くようになってきた。そんな中、ようやく週末に雨が降らなそうな予報が出てきた。ここずっと林道に行けていなかったこともあって、とにかく山に行きたい!山ラーがしたい!という衝動だけで家を出ることにした。
 
 現在時刻、11:20。国道140号の雁坂トンネルを通って山梨県に入った。ここを下って今日最初の目的地へと向かう。今日はそれほど天気は良くなさそうではあるが、もう雨さえ降らなきゃなんでもいいよ・・・。
 それにしても、朝の国道299号は寒かったなあ。前回林道へ行ったときはまだ暑くてたまらなかったのに、季節の移り変わりが急すぎる・・・。
 
 そこから10分ちょっと国道を下り、目的の林道へ向かう分岐へとやって来た。
 
 現在地はここ。
 
 林道へ向けて標高を上げて行くと、晴れていれば富士山が綺麗に見える地点も、今日はこの通りの有様・・・。
 
 まあ、「雨さえ降らなきゃなんでもいいよ」と言ったのは他でもないこの俺だけど、さすがにこれはちょっと残念な眺めだな・・・。
 
 国道との分岐から8kmほどで、林道乾徳山(南)線の起点に到着。とりあえずゲートの行き止まり地点まで行ってみよう。
 
 そういえば、こ登山口からの山登りもしてみたいと思いつつ、未だにやってないなあ。来年辺りにでも登りに着てみようかな。
 
 まあ、俺と乾徳山の天気の相性の悪さを考えると、晴天の日に来れる自信も無いが・・・(笑)。
 
 序盤の開けた区間を過ぎて、樹木に囲まれた区間に入ると、周囲の木々は微かに色付き始めているようだった。
 
 ここは、道の脇が高台のような平場になっている地点だが、うわあ、何にも見えないじゃないですか・・・。
 この1段上のところで、ソロのライダーが椅子に腰掛けて休憩していたので、俺はこの1枚だけを撮って先へ進むことにした。
 
この辺りの紅葉の見頃は、まだもう数週間は掛かりそうな感じかな。
 
 それでも、スカッと晴れてさえいればこのくらいの色付きでもそこそこ綺麗に見えていそうな気はするなあ(笑)。
 
 こんな天気のせいか、普段は撮らないようなところでもシャッターを切ってみたり・・・。
 
 この辺りまで上ってくると、周囲の木々も先ほどまでの区間よりはだいぶ紅葉も進んできている気がする。靄がすごくてあまりよく分からないけど・・・。
 とりあえずあの先がゲート前広場だ!
 
ぬーん・・・
 
 うぁあ、マジでナンも見えねぇ・・・。俺と乾徳山の天気の相性の悪さも、ここまでくるともはや笑えてくるレベルだな。今日は天気の良くないことは承知の上だったとはいえ、ここまでとは・・・。
 
 ただ、こんな天気にも関わらず、このゲート前広場にはハイカーのものと思われる2台の車が停まっていた。この人たちも山から見る景色を楽しみにしていただろうに。
 
 なんてことを言ってたら、少しだけ遠くの雲が流れ始め、山の稜線が見えてきた!
 
 こっちの上空も、僅かながら雲の切れ目から陽が射してきてはいるんだが・・・もうちょっと頑張ってくれ!
 
 そんな天気だけど、とりあえず山ラーおっ始めちゃうぜ!ここのとろ仕事がシンドかったこともあって、とにかく山ラーさえ出来ればと思ってこんな天気でも出てきたのだ。
 
 ラーメン食べながらずっと遠くの景色を見ていたんだけど、今日はもう雲が晴れてもこれくらいが限界なのかな。
 
 岩肌の木々も、所々色付いてはいるけれど、全体が見頃になるにはまだまだ掛かりそう。
 
 さあ、林道で山ラーする目的も果たせたし、今日はそんなにのんびりもしていられないので、そろそろ引き返そう。
 
 今年はずっと暑かったから、もしかしたら紅葉の色付きもムラっ気があるのかも知れないなー。
 
 ここももう少しすれば(そして天気が良ければ!)鮮やかな紅葉に包まれた美しい景色が見られそう。
 
 さっき往きにライダーが休憩していた地点まで戻って来た。ここまで下って来てみると、向こう側の山並を覆っていた雲も、だいぶ流れて行ったようだ。
 
ああー、なんだよ、こんなに雲が晴れてきたんだったら、さっきあそこで無理にラーメン食わずにここまで戻ってくれば良かった(笑)。まあ、そんなこと言ってもあそこにいたときは、こんな景色になっていたことも、ライダーが既に立ち去ったかどうかも分からなかったしな・・・。
 
 起点近くまで戻ってくると、遠くに見える富士山が、先程よりもはっきりとその姿を覗かせていた。
 
 富士山の手前には、羽衣のように細長い雲がたなびいている。こんな景色を見ながらラーメンすすりたかったぜ(笑)。
 
 乾徳山線を下り、R140を秩父まで引き返して次の目的地にやってきた。ここは森林科学館前。そう、これから向かうのは中津川林道だ。中津川林道といえば、昨年の台風19号による被害を受け現在通行止めとなっているが、たとえ通行止めだと分かっていても、年に一度は中津川に来ないと気が済まないのだ。王冠キャンプ場のある地点までは通行が可能となっているので、そこまで行ってみよう。
 
 去年は2年半ぶりとなる再開通を果たし、夏の間に3回も訪れたこの中津川林道だったが、その後の台風の被害で結局紅葉の季節を待たずに通行できなくなってしまった。
 ダート区間に入ると、こちらでも周囲の木々はやっと僅かに色付きが始まった頃合いだった。
 
 前回訪れてから早くも1年2ヶ月ほどが経とうとしているが、やはりこのダートを踏むとほっとすると言うか、とても嬉しい気持ちが込み上げてくる。
 
 中津川、今年もちゃんと会いに来たぞ。
 
 久しぶりの中津川のダートを噛み締めるように走り、あっという間にキャンプ場の奥の通行止め地点に着いてしまった。
 
 少し前に、既に工事の手が入ったという話は聞いているが、次に再びこのゲートの先を走ることが出来るようになるのは、いつのことになるだろう・・・。
 
 ゲートには立入禁止についての注意書きが設置されているが、いやあ、物々しい文面だ・・・。
 
 ここから先の区間の、これからの紅葉の季節の景色の素晴らしさを知っているだけに、今年もここを走れないことは辛いが、ちゃんと復旧に向けて動いていることは間違いないと思うので、またいつか来る再開通の日を心待ちにしよう。
 
 さあ、それじゃあそろそろ引き返そうか。
 
 走れる区間は僅かだったけれど、やはり中津川に来ると何か特別な感情が湧きあがってくる。今年は例年の感覚よりは紅葉の時期は遅れそうだけれど、中津渓が紅葉に染まる頃に、また来てみようかな。
 
 さて、あとは帰るだけなのだが、最後にもう1箇所だけ立ち寄って行こう。
 ここは荒川贄川地区。BAJAの停まっている脇の細い坂道を上ったところに目的地がある。
 
 それがここ。柊木神社(ひいらぎじんじゃ)だ。この神社も狼信仰の神社らしくお犬様がいて、以前すぐ近くの猪狩神社を訪れた際に一緒に見て行こうと思って探したのだが結局見つけられず仕舞いだったものの、今年になってまあもさんが訪れたこともあって、ようやく場所が判明した次第(笑)。
 いざ来てみると、あまりのひっそりとした佇まいに少々驚いた。こりゃあ前回見つけられないわけだ・・・。
 
 鳥居をくぐると、小ぢんまりとした社が建っていて、その手前に1対のお犬様が置かれている。
 
 社の奥には「柊木大神」と書かれた扁額がある。実はもうひとつ扁額があったのだが、何て書いてあるのかが判読出来ず・・・(「柊木神社」という話もあるが)。
 
 それではいつものようにお犬様を見ていこう。社に向かって右手にいるのが阿形・・・だと思う。
 
 なぜ「だと思う」なのかと言うと、はじめ、こちらのお犬様は歯が噛み合っていたので吽形かと思ったのだが、対となるもう一体のお犬様と比べて口の開きの幅が大きいので阿形なのではないかという気がする。
顔の造形自体はとてもシンプルで、特に目などはアウトラインを筋彫りで表現した簡素なものとなっている。このタイプの表現は皆野町の野巻椋神社でも見られるものだ。
 
 そして、この柊木神社のお犬様で特徴的なのが、この前足の造形だ。大きく「く」の字に湾曲した脚部と、前方に迫り出した肩甲骨が印象的だ。
 
 そして、社に向かって左手のこちらが吽形だ。
 
 こちらも特徴的な造形は阿形と同様なのだが、それ以上に特徴的な点が、前足で抱えられた子供の存在だ。一見するとつるんとした丸餅のような造形だが、良く見るとちゃんと顔が彫り込まれているのが分かると思う。
 
 頭部のアップ。こちらは牙が噛み合っていなくて口に隙間があるので阿形のように思ったのだが、先述の通り開きの幅がこちらのほうが小さい。単に石工の造形センスに拠るものなのかも知れないが・・・。
 
 このお犬様、いつ頃奉納されたものなのだろうと思ったら、台座に昭和十一年と記されていた。なかなか年季の入ったもののようだ。
 
 阿吽それぞれを正面から。
 ちなみにこの柊木神社、社の中には狐様の像も置かれていて、稲荷神社ともなっているようだ(扁額が2つあるのはそのせいだろうか?)。それらの写真はPHOTOSのほうに載せておくので良かったら見ていって欲しい。
 
 この柊木神社のお犬様も、県内の他のどのお犬様とも違った造形でとても興味深く堪能させていただいた。
 この柊木神社自体はとてもひっそりとした小さなもので、案内板のようなものも無く由来については分からない。帰宅後にウェブで調べたところ、荒川村費川について記したpdf資料を見つけたので、「大神-オオカミ-の貌」のページを更新するまえによく読んでおくことにする(笑)。
 
 そして、こんなめちゃめちゃ天気の悪かった日のツーレポを書いている今日は、めちゃめちゃ天気が良かったっていうね・・・(笑)。まあ、この日だってもうどうしても山に行きたくて仕方なくて出てきたので、それはそれで良かったけどね。そろそろ紅葉の林道ツーリングにも行けるかな?晴れた日にね(笑)!